自宅療養中のため、長編の本が恐ろしいほど進む…。とにかく暗いっていう噂の夏目漱石『明暗』を読んでみました。
いちおうの主人公は津田っていう男の人。津田さんは最近お延っていう女性と結婚した(いちおう)新婚の身なんだけど、特に初々しい様子はない。そしてこの2人の仲立ちをした吉川という人。この人は津田の上司にあたる人で、夫人は津田の過去を知っている。津田さんの過去は「清子」っていう人と結婚を誓いあった仲だった、ということなんだけど、このへんの事情は詳しく描かれないし、清子に関しては最後の方でしか登場しない。全体として人間関係の糸がもつれあっていて、会話文は当たり障りない話題なのに探り合いとか、緊迫した心情の描写が多い。とにかく一人も!!率直で気持ちのいい登場人物は出てこないので、読後感が良いか悪いかといえばまぁ悪い、のだけれど、途中で読みたくなくなるっていうことはないのでやっぱり名作なのか…という感じ。私はたまに登場しては人の猜疑心を煽っていく小林が苦手だったわ…。
わー宮部さん、若いわ…と写真を見て最初に思った。15年くらい前の本ですね。こういうエッセイを書いていたのをこれまで知らなかったんだけど、これは面白い本!宮部さんが編集者とカメラマンの人たちと歴史の舞台を散歩(「徒歩(かち)」)するんだけど、意外にこういうテーマの本ってないんじゃないかなぁ…
歴史学者の先生が書く新書ではありそうだけど、小説家が歩いてるっていうのが適度にゆるさが感じられてよかった。特に興味があったのは最初の
忠臣蔵のところと、「市中引廻しの上、獄門」の市中引廻しツアー、流人暮らしをテーマにした
八丈島、あたり。宮部さんと同じく、牢屋敷ってよく時代劇に出てくるから何となく
拘置所と刑務所を兼ねてるものだと思ってたけど、刑務所としての役割はなかったのねー
*1。
忠臣蔵も歌舞伎なんかでだいたい内容がわかってればついていけるし、楽しかったなー…
忠臣蔵、冬になったらまた見に行きたい。あとは
江戸城を作ったのは
徳川家康じゃなくて大田道灌で(知らなかった)、後半はどんどん縮小してったけど完全版の
江戸城は
千代田区が丸々入るくらいの大きさだったらしいとか、
島流しされた大坂屋花鳥っていう遊女のこととか、初めて知った。