読了

食堂かたつむり

食堂かたつむり

 何の予備知識もなく買った1冊。タイトルもタイトルなので、『かもめ食堂』的なものを思い浮かべてましたが結構違いました(当たり前か)。恋人に手ひどく裏切られた倫子ちゃんが、不仲な母の元に戻り、食堂を開きつつ色々な人に出会っていく。物語の最初から倫子ちゃんが相当ひどい目にあっていて、でも結構冷静に語るのでにやにやしてしまいます。恋人がインド人!トルコ料理屋のアルバイト!ルリコ(おかん)御殿!エルメス(豚)!アクの強い登場人物に囲まれた、すごい世界。それなのに傷心の倫子ちゃんが「十年分年を取り、化粧っけの全くない素のままのおかんは、顔の彫りが深い分だけ、美容整形して女装した中年男みたいだった」と分析してる・・・!すごい!冷静!!とすごく楽しい。でも自分の道に真摯に向き合う倫子ちゃんを応援する気持ちもあり・・・。最後、終わり方がよしもとばななさんぽいなぁというのが気になりましたが(結果的に全員が善人すぎるくらい善人になってるし)、どんどん読めちゃう作品でした。