長い記録(2)入院・手術編

 手術日、その次の日は茨城から母親に来てもらうことになったけど、入院のときは一人だったので大荷物持ってタクシーで病院へ。つい3日前まで仕事もしてたし(でも重い物を持つことと激しい動きはできなくなっていたので分かった時点で事情を話してあった)、病院にも自力で行けるんだけどラッシュにぶつかってしまうので怖いし、楽な方で。到着後は入院センターでアナウンスを受け、婦人科病棟へ向かう。一人で病室っていうのも気が紛れないので大部屋にしたけど、当日案内されたベッドは6人部屋の窓際(ラッキー)。テレビと冷蔵庫はカード式になっていたのですぐ買いに行く。手術後〜歩けるまでどれだけかかるか分からなかったので、一応2枚。
☆1日目
10:00
検温。36.6℃…なぜかちょっと高め。オリエンテーションがあって、看護師さんがシャワー室とかトイレ、洗面所、診察室を見せてくれる。シャワー室の予約の取り方も(ついでに昼前が空いてたから予約)。その後手術のためにちょっとだけ剃ったり。時間があったので下の階のコンビニで飲み物をまとめ買い。
11:00
薬剤師さんが来る。説明の紙をもらったり。シャワーの予約時間になったので、すみずみまで洗う。
15:00
下剤の服用。経験者のブログを見たりすると液体の、マズいと名高いものがメジャーな様子なのでちょっと楽しみにしていたとこもあったんだけど、なんとアローゼンっていう漢方の錠剤。拍子抜けしつつ飲む。その後はコンビニのシュークリーム食べたり読書したり。
16:00
麻酔の先生が来て、話を聞く。色んな検査とか薬とか手術の話って、たいていの場合は「もし何かあったら死んじゃう」みたいなものだったりするのでイヤーな気もするけど、ここまできたらしょうがないので逆に穏やかな気持ちに…。はい、質問ありません。
17:00
ここで持参してきた本1冊目読了。パウロ・コエーリョの『ピエドラ川のほとりで私は泣いた』って本。中学生くらいのときに『アルケミスト』が面白かったからと思って持ってきたんだけど、そんなに気分に合わず。スピリチュアルなものが読みたかったのか、私。
17:20
手術室の看護師さんが来る。笑顔がすてきなかわいい看護師さんが多いいい病院だ。
17:30
手術の先生が3人でやって来る。若い!!
その後、かっこいい若い女医さんが1人で来る。結果、この女医さんが助教で執刀医の先生でした。
18:00

夕食。鯖の味噌煮、小松菜のおひたし、きんぴらごぼう、ごはん、お吸い物。明日は手術だし、しばらく普通のご飯は食べられないのかな…と思いつつ、完食。見た目はあんまりおいしそうじゃないけど、味は普通。
20:00
血栓防止の靴下をはく。病院によっては手術後に看護師さんがはかせてくれたり、手術直前のところもあるみたいだけど、ここでは前日からってことになってるらしい。メディキュットみたいなものですね。
20:30
歯みがき、もう一回洗顔してベッドで読書。銀色夏生『自分の体を好きになりたい』読了。ここまで読むと新刊が出ちゃうとつい買っちゃうのよね…。
22:00
消灯。何もしてないから眠れない。いよいよ飲食禁止の時間帯に
24:00
ようやくうとうと

☆2日目(手術)
4:00
目が覚める。やることもないしテレビの気分でもないので読書(窓際のベッドだから明るかった)。
6:00
よしもとばなな『もしもし下北沢』読了。おお、茨城が出ているではないか。
6:30
昨日飲んだ下剤が効いてない。それとも宿便がないのかしら…と思いつつ、浣腸…。急に血圧が下がったりすることもあるらしいけど、大丈夫だった。脈拍も。でも何も出なくて(お食事中の方がいたらすみません…)、看護師さんに平気ですかね〜?と聞いてみたり。それならそれでいいよ〜と言われて一安心。
7:00
歯みがき、洗顔。手術着に着替えてぼんやりしてたら水分補給のための点滴の時間に。ここからは2日くらいは点滴しっぱなしになる。
11:00
茨城から母到着。手術は午後2番目なので、14〜15時開始では?と言われてたので、緊張感なくだらだらしゃべったり。
12:30
ナースステーションから看護師さんがあわててやって来て、「手術13:00からになりました!」と言われて驚く。急いでトイレに行って、ナースステーション前に行く。そこからは母と別れて1人で手術室へ。大きな扉には「中央手術室」って書いてあって、ここで帽子をかぶってしばらく待機。看護師さんがフレンドリーな人だったので、こんなに前倒しになることってよくあるのかとか聞いてみたり。前の手術が終わらないせいで予定の時間に先生がそろわなくて、逆に2番手の手術のスタッフがそろっていたりすると前後の順番を変えたりすることもあるんだって。へー。
13:00
どうぞーと言われたので、看護師さんとお別れして手術台へよいしょっと登る。昨日ご挨拶したはずなのに、帽子とマスクで誰が誰なんだかさっぱりわからん。大判のタオルをお腹にかけて、手術着の前部分を開けられ、手足を固定したり心電図の機械を取り付けたり。ばたばたとごめんねーと言われたので、時間が思ったより早かったのでびっくりしましたーと話す。そして麻酔の先生がすたすたやってきて、「点滴しますねー」と。その時から一応目を閉じてたけど、少し目が重くなったりしますね、と言われた段階ではまだ何も感じない。まだ効かないのかな?と思ったけど、次の瞬間には意識がなくなる。
16:00すぎ
予定時間は2時間と聞いていたけどどうやら3時間かかった様子。誰かに大きな声で話しかけられた気がして一旦目を開いたけど、またうとうとしたり。このあたりは意識がほとんどなくてあとの数時間も断片的にしか覚えてない。覚えているのは最初にとにかく寒くてふるえがとまらなかったこと、母親が近くにいて手術の内容を教えてもらったことと、誰かが「中を縫ったよ」と言ったこと(だから腹腔鏡から開腹に切り替えたのかな、と思った)、声を出したらものすごいがらがら声だったこと(管を入れてて喉を痛めたらしい。すごく咳き込みたかったけど明らかにくしゃみ・咳は響くからムリ!喉の痛み自体は夜には治ってた)、母親が帰ろうとしたら嫌がって20時までいてもらったこと、くらい。痛みの記憶もほとんどないけど、どうもブロック注射っていうのをしてあったせいらしい。
夜はものすごく長く感じた。自分があまりにもいろいろなものにつながっていて全然動けない*1ので窮屈だし、特に脚の血栓防止のポンプが20秒くらい毎にぷしゅーぷしゅー言うので気が散る!ありがたいけど看護師さんも2時間に一回来て、血圧測ったり傷あとを見たり、検温、心電図みたいなのを見たり、点滴を変えたり…熟睡はできない。でも夜も真っ暗な中懐中電灯を手に、あれだけ細やかに見てくれるなんて、本当に天使だわ、と思う。自分では見られないけど、お腹を意識してみるとぺたんこになってるのがわかっておぉ、と思う。中は痛くないけど、傷あとが痛くて「中身が出る!(出ないけど)」って感じになるので寝返りは打てず…お尻が痛いので看護師さんに相談したら、寝返り用のクッションを持ってきてくれる。その後は2時間に一回来た時に右→左→右…と向きを変えてくれた。21時近くなって呼吸器が外れてちょっとすっきりするも、また寝たり起きたりの繰り返し。

☆3日目
4:00
目が覚める。とにかく時間が長く感じるし、早く朝になれーと祈るように待つ。ちょっと脚を動かしてみるも、傷が痛くてムリムリ、とすぐやめる。でも寝っぱなしで腰も痛いから早く起きられるようになりたい。
6:00
同室のみなさんが起きだす。私、昨日あんまり記憶がないけどうるさくしてたらすみません…。
7:00
看護師さんから水飲んでいいよ〜と言われる。でも今はいいや…やめときます…と言う。人によってはとにかく喉がかわいたりもするみたいだけど、私はならなかったな〜。
8:00
普通だったら朝食の時間、でも私は食べられず、ふて寝。このあたりで指につけてたクリップみたいなのと、鎮痛剤(注射器みたいなのが枕元にあって、2時間に一回看護師さんが点滴に入れてくれてたみたい)、フットポンプが外れて、点滴と尿管だけになってちょっとすっきり。その後も昼まで何回か傷あとの確認に看護師さんが来る。
11:30
看護師さんが来て、歩いてみることに。自力では全然起きられないけど、コツはベッドを途中まで起こして、後はベッドの片側に手をついて、腕の力で起きること。明け方はちょっと動くことだってできなかったのに、人間の体の回復はすごいなーと感動するくらいあっさり起き上がれる。うれしい。腰も曲がってるし、よろよろとだけどトイレまで往復できたので尿管も外れる。一瞬変な感じだけど、痛くはない。ほ。
12:00
昼食。こんなに早く食べていいの!?と思いつつ、食事開始。三分粥と、白身魚を煮たの、野菜がムース状になった何か、コーンスープ、お茶、きなこのプリンみたいなの。ここだけ写真なし(そこまでの気力はなかった…)。2/3くらい食べたかな。
14:00
母親が来る。ベッドを起こさないで、完全に自力で寝起きできるか実験してみた…ら、いたたたーといいながらもできてまた驚く。水とかお茶を買ってきてもらう。
18:00
母親が帰る。次回来るのは退院の日だ。

夕食。七分粥だったかな…あとはかに玉、白菜と海老とマカロニの煮物、お吸い物。ごはんがちょっと重くて半分だけ食べる。このときに検温で38℃に。37℃台はよくあるらしいけど、38℃を超えるとあまりよくないらしく、氷枕をもらう。ひんやりして気持ちいいー。あとは点滴が終わった後は食後に抗生剤と胃を保護する薬を飲む必要があるってことで、薬を受け取る。
20:30
熱が37.6℃に。本当は夜には点滴を外していいらしいけど、この後また熱が出たら点滴の必要があるらしいので管だけ残して手にくるくる巻いて、ネットでとめておくことに。
21:00
昨日あまり寝られなかったこともあって、消灯前に熟睡

☆4日目
6:00
起床、歯みがき、洗顔。熱は36.9℃。暇なので本を読み続けて、吉本ばなな『アムリタ(上)』読了。もう何十回も読んでるけど、なんだか病院にマッチしている…満足。
8:00

朝ごはん。久しぶりの普通のごはん!あとは青菜と海老の煮浸し、納豆、味噌汁、牛乳。めきめき元気になってきたので完食。でもちょっと苦しくて後悔…。
12:00

テレビでニュース見たりしているうちにお昼。中華丼と酢の物、デザート。ここ、ごはんの量が多いなーと思って少し残す。
13:00
熱は上がらなかったので、いよいよ点滴を抜く。自由だーと思って病院内をうろうろしてナースステーション前の献立表を見に行ったりコンビニに行ったり。ちょうど日曜日だったので外来のお客さんもいなくて、ゆっくりゆっくり進む。
13:30
頭を洗う許可が出たので、洗面所で洗う。昨日だったらそんな体力もない、と思ってたので、本当に1日ごとに、1時間ごとに良くなっていくのを感じる。うれしい。
吉本ばなな『アムリタ(下)』読了。これを読んだ茨城の中高生のときは今こうやって入院するなんて思ってもいなかったな、ずいぶん遠いところに来たな、と感慨もひとしお。
15:00
お腹が空いたので飲むヨーグルト飲んだり。
18:00

夕食。鶏のトマト煮、さつまいもと胡瓜のサラダ、アスパラときのこ炒め、ごはん、スープ
恩田陸『三月は深き紅の淵を』読了。これは大学のときにも読んでるので再読。
22:00
消灯
23:30
就寝

☆5日目
6:00
起床、歯みがきとか色々
7:30
採決、採尿
8:00

厚揚げと青菜の煮物、なめこおろし、ごはん、味噌汁、ヨーグルト。ごはんだけちょっと残す。
11:00
術前の血液検査でも言われたけど、ちょっと貧血気味ということで鉄剤をもらう。
12:00

ロールパン、グラタン、サラダ、りんご。パンが久しぶりでうれしい。完食。
15:40
術後診察、内診。お腹はそれまで透明なガムテープみたいなので止めてたけど、一旦はがして別のテープに。今度はよくけがしたときに使うような細めのテープをぴぴっと貼るだけ。あっけない…。傷の具合も大丈夫ということで、予定通り明日退院になる。あと、見る?と聞かれて手術映像を見せてもらう。テレビで手術映像が映ると怖くて見られないくせに、自分のだと興味津々で見られるっていう…自分のお腹の中なんて、貴重な映像だわー。
18:00

夕食。豚肉とピーマンの炒めもの、おひたし、漬物、ごはん、味噌汁。ご飯だけちょっと残す。
読書して、就寝

☆6日目
6:00
目が覚めるも、起床時間になっても誰も看護師さんが来ない…。どうも私のいた病室はこの日にみんな退院らしく、つまりはみんな元気でやることもないってことらしく、遅くまでだらだら、メールしたりして過ごす(病室はメール可でした)。
8:00

朝ごはん。焼き魚(鮭)、いんげん胡麻和え、ごはん、味噌汁、牛乳。やっぱりごはんだけちょっと残す。
食べた後は帰る支度をしたり、ナースステーションに請求書をもらいに行ったり。全然会話はないけど、同室の人たちも退院だから廊下ですれ違うときに笑顔で会釈。
10:00
母親と一緒に入院センターでお会計、タクシーで帰宅。

☆手術のこと色々
大きさは聞いてないけど、たぶん検査のとおり12×10センチくらい?中身は、これがチョコレート嚢種とか言われる所以なのだけど、古くなった茶色い血がたくさん入ってたそう(量が900ccもあって、それが手術が長引いた原因だったらしい。もうすぐ1Lだよ、怖い)。方法は中身を吸い出し、正常部分を残すやり方。出血量は少なくて100ccくらい。本当に幸運だと思うけど、他の臓器との癒着もなし、でした。

☆退院後の生活
くしゃみ、咳は退院後一週間くらいで平気に(それまでは恐ろしくてできない!)、歩くのは退院後は1時間近く外にいただけでぐったりするくらいだったけど、その後はちょっとずつ長時間歩けるように。ただし自転車がぶつかってきたりとか、かなり歩道を歩くのは怖いので最初は空いてる平日のデパートで体を慣らしました(今時は自転車が通らない道って少ないですよね)。お風呂は退院後の診察までシャワーのみ。寝るときは退院後4〜5日までは横を向けないかな…やっぱり傷が怖くてできないって感じでした。ちなみに重い物も退院後の診察までは不可。

☆費用
入院期間は5泊6日、腹腔鏡だとだいたい15万円強?くらい負担することになるみたいですが、入院まで少し日があったので限度額適用認定証をもらっておきました。詳しくは職場の人に聞いてみたりするのをおすすめしますが、1ヶ月の中で医療費が高額になると分かっている時、事前の申請である一定の金額以上には負担しなくて良くなる制度。急な入院・手術で事前申請できないときは一旦自分で支払っておいて事後に払い戻しも受けられますが、こっちは結構時間がかかるらしいので事前がよいですね(この制度には差額ベッド代、食事は含まれないので注意)。
で、私は個室にもしなかったので大体9万円くらいがかかった費用でした←この中には職場に提出する診断書の費用も入ってたので、実際の入院・手術費用は8万円をやや超えたくらいだったかと。もし認定証がない場合は18万円くらいが請求されたようだったので、やっぱり事前に手続きしといてよかったーと思いました。

☆便利だったもの
S字フック!2つ持っていきましたが、お風呂セットとか、スマホを入れとくのに便利でした/本。6〜7冊持っていったけど大体読んでしまったので、もう読みたいだけ持ってくのがおすすめ/小さめのタオル。お風呂は入院日と退院前日しか入れなかったので、思ったよりバスタオルはいらないかも/化粧品。お風呂はムリでも洗顔くらいはできるので、使いなれたものを/目覚まし時計。目覚まし機能は使わないけど、病室には時計がないので置時計タイプは絶対あったほうがいい!起きられないときにも時間は見たいし/ノートとペン。当たり前だけど、ペンは忘れずに。当日に署名が必要な書類があったり、食べた量と検温の結果を自分で記録する病院もあるので(私の入院した病院はそうだった)

以上!我ながら、手術も退院後もスムーズ、どこも問題はなかったラッキーなケースだと思うけど(癒着があったり、手術の内容によっては回復に時間がかかったり、痛みがあったりするらしい)、それでも!発覚〜最短で手術、日常生活に復帰できるまでは2ヶ月以上かかりました。精神的にも嫌な気分だし、仕事も長期で休まなきゃいけない…諸々を考えると、当たり前だけど、健康って代えがたい、って思いました。女子はちょっとお腹出てる?って思ったら、すぐ婦人科へ!

*1:点滴、指に挟むやつ、フットポンプ、尿管、呼吸のマスクとか…。