小説のストラテジー

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猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数 (講談社ノベルス)

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イノセント・ガールズ 20人の最低で最高の人生

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200X年文学の旅

200X年文学の旅

 『200X文学の旅』は柴崎せんせいと沼野せんせいの往復書簡(ていうのじかな?)。東欧とかロシアの本がたくさん出てきて、あーわたしって何にも知らないんだ…!と身にしみてわかる。今年はチェコの作家の本とか集中して読んでみたいと思ってたので、うれしい。ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』くらいしか読んだことないけどすごく好きな雰囲気だったから。しかし『存在の〜』って声に出して読みたいタイトルというか、おしゃれでかっこいい、余韻のあるステキタイトルだと思う。『イノセント・ガールズ』はおおむね1940〜1970年代アメリカを舞台に生きた女性たちの物語。ほぼ知らない人ばっかりなんだけど、数奇な運命というか、現実なのに物語みたいというか、まさに岸本佐知子さんの帯のとおり『こんなとてつもない人生がごろごろしてるなんて…アメリカ、おそろしい子!」ってかんじ。ただ一つ一つのお話がとっても短いから、もっと長い文章で読んでみたい気がする。北山猛邦さんの『猫柳〜』は最初の方がちょっと笑えるくらい掛け合いがおもしろいのに、後半はどきどき、の上手いバランス。謎の女探偵(探偵助手学部の先生)とゼミ生が力を合わせて事件に挑む!デビュー当時の静謐な終末期の世界感もよかったけど、こっちも好きだなー。