読了

 桜庭一樹さんの日記にあった本。SFってかなり苦手なんですが、宇宙とか出てくる方のSFでなく(完全にSFに関して無知であることが明らかに・・・)、幻想的で不思議なお話集。神話みたいで、耽美でありつつ、冒険ぽくもある。私は表題の「眠れる人の島」(孤島に漂着した男が出会った少女が<この島のすべては“眠れる人の見た夢”だ>という話)とか、永遠の命を得ようとする男の依頼によって冒険に出る「生命の湖」が好きです。 ノアの方舟、殺人、探偵、冒険満載でおなかがいっぱいになります・・・。恐竜とかユニコーンが後半に平気でじゃんじゃん登場するので、読みなれてない身としては新鮮。あと芦辺さんは探偵が大活躍する、輝かしい時代をよく舞台にしているように思うんですが、描かれ方が愛情いっぱいで、ああ本当にミステリが好きなんだなぁとうれしくなります。って何者か私は。
罰せられざる悪徳・読書 (みすずライブリー) (みすずライブラリー)

罰せられざる悪徳・読書 (みすずライブリー) (みすずライブラリー)

 ある人間が生まれてから困難や誘惑を乗り越えて<理想的読者>になるまでの過程を綴った本。本文は40ページ強で終わってしまうので(それに比べると、そのあとの脚注は結構膨大だけれども)、物足りないかなーと思ったんですが、すごく濃い読書に関する本でした。本が好きな方にはぜひぺらりとページをめくっていただきたいなぁ!と思います。最初はなじむのが難しいかもしれないけど、日本語訳も文体が美しくてすばらしいと思います。あと、ナイスなタイトル!

 だが突然私は読書のことを考えた。読書がもたらしてくれるあの微妙かつ繊細な幸福のことを。それで充分だった。歳月を経ても鈍ることのない喜び、あの洗練された、罰せられざる悪徳、エゴイストで清澄な、しかも永続するあの陶酔があれば、それで充分だった(p,4)。