ほとんど知らない作者のお話ばっかりだったけど、最初のSF落語みたいな構造になってる話から、冷凍庫の霜取り合戦する話(サラリーマンが二人で、深夜の出張先ホテルで!)、少しホラーみたいな語り口の話と盛りだくさんで楽しい!北村さんと宮部さんのセンスはいいな。
村上さんのエッセイを愛する私。猫山さんのくだりはふふっと笑ったけれど、その後あたりに収録されている「
ロードス島の上空で」はさみしいような、足元がすぽんと抜けちゃうみたいな感覚があって心もとなくなった。ちょっと違う感情だけど、
北村薫『六の宮の姫君』の中で主人公が正ちゃんと磐梯まで卒業旅行に行くあたりで出てくるセリフ「生きていく上で、中空にいるみたいな、人間の孤独を感じたら、理屈じゃなくって文字通り、揺れてる自分を押さえつけてほしくなると思う」みたいな、そういう「普段は忘れているけれど、自分は孤独(誰とも分かちあえない)だし、いつかこの世から消滅する」ってことを思い出す感覚ってありますよね・・・。でも
ロードス島、ってところがムラカミさんぽいなぁ!
今年は古典を読む!と思っていたので、〆に華やかなお話を!と意識して選んだ一冊。
桜庭一樹さんの新しい読書日記に偶然『
マノン・レスコー』が出てくるんだけれど、『椿姫』関連
*1だったから何となくうれしい。主人公がちょっと幼稚っていうかあんまり感情移入しにくい話ではある(逆にマルグリットがすばらしく美しく、優しく、頭の良いすてきな女性に描かれている気が)んだけれど、手紙を挟んだり脇役の配置とか、ドラマとして上手く書けているなーと思うところもあったりして楽しかったです。ところで著者プロフィールに“『三銃士』の作者大デュマの
庶子デュマ・フィス”とあるけれど、なんでいっつも“大”デュマっていうんだろう。親子なのはわかったけど、親の方っていっつも“大”がつくんだろうか・・・後で調べてみようかな。