読了

 読了本が山のように積まれてるので、少し整理します。

花埋み (集英社文庫)

花埋み (集英社文庫)

 先日買った『活字倶楽部』に載ってた1冊。日本最初の女医さんの伝記です。渡辺淳一せんせいの本は正直あまりいい話を聞かないんですが、これはそんな偏見?があっても楽しく読めました。何より、主人公の女性が波乱万丈すぎる人生を送っているので目が離せないというか・・・。地方の名士の家に生まれ、末っ子としてかわいがられ、羨まれるような家に嫁入ったにもかかわらず、病気になり、実家に帰り、自分が受けた治療から医者になることを決心。まだ女性に医学の道が開かれていなかった中、壮絶な努力をしていくのですが、最後の最後に漂流ともいうべき結末があって、唖然とする。
フェルマータ (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

フェルマータ (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

 時間を止めて、女性の衣服を脱がせる特技を持った男の自伝。本当に、「変わってる」としか言えない新しい本・・・。時間にしたら一瞬のことなのに、主人公の特技(時間を止める)と想像の細かさで、時間がぐんにゃりして酔ったみたいになる。筆者はいったいどんなテンションでこの作品を書き上げたのか・・・気になる。
雨の午後の降霊会 (創元推理文庫)

雨の午後の降霊会 (創元推理文庫)

 桜庭一樹さんの読書日記掲載の1冊。霊媒師マイラが夫とともに子どもを誘拐し、予言ともいうべき言葉で解決に導けば、自分が認められる・・・と計画を立てるが・・・という話。何よりこの夫がもたつくので、やきもきすることこの上ないです。あと夫婦仲悪そうとか関係ないことをいろいろ考えてしまった。でもこれだけ薄い本なのに、無駄なところがなく、テンポよく描かれているので『フェルマータ』よりすごく読みやすかったです。あとラスト、え?と思っているうちになだれこむように話が終わるので余韻がなんだかいい。
ファニー・ヒル (河出文庫)

ファニー・ヒル (河出文庫)

 15歳の少女(主人公・ファニー)がロンドンに出て、あっけらかんと身を持ち崩す話。これはこの時代では、それなりに真実だったというか、あり得る話だったんじゃないかなぁと思わせる。主人公の女の子は都会の罠を知らずにずぶずぶと入っていってしまうんだけど、みんなが離れた場所から情報を得られる時代ではこんなことあんまりなさそうだもの。あと、この本は発行された当時、内容に問題ありということになって作者が罪に問われたそう。
「死の棘」日記 (新潮文庫)

「死の棘」日記 (新潮文庫)

 『死の棘』は前に暗ーい気持ちで読み終えたけど、日記も出てたのでついでに読んでみた。ゆらゆら揺れる日常と狂気に、またずどんと突き落とされたみたいな気持ちになる。
愚行録

愚行録

 こっちも桜庭一樹さん読書日記より。イーブックオフで購入したんですが、注文確認メールのあと、本の一部が破損していたので無料にしますという連絡が来た。ので、無料の本。別にタダだから気をよくしているわけではないけど、面白かった。最初に新聞記事があって、その後は女の子がお兄ちゃんに語りかける文章が挟まれつつ、殺人事件の周辺の人々が証言していく構成。何の説明もないので、はじめは???って感じだけど、最後の最後、一気に収束していくのでおおーとなりました。内容が内容なので、無力感というか人の闇というか、いやーなものが残るんだけど、収束し具合が機能的で美しいのですごく好き。