読了

最近の読了本。

赤川次郎の文楽入門―人形は口ほどにものを言い (小学館文庫)

赤川次郎の文楽入門―人形は口ほどにものを言い (小学館文庫)

 文楽、とありますが、内容としては文楽以外にもオペラ、歌舞伎、劇団についての話も結構多くて、いわば「舞台」周辺についてのエッセイと言えるんじゃないかと思います。難しい言葉が少なくて、すごく分かりやすい。ただ、タイトルから想像する内容とはちょっと離れるのでそれは残念かも。 頼朝部分多し。やっぱり鎌倉=鎌倉時代=頼朝なのかねぇ。
隠し部屋を査察して (創元推理文庫)

隠し部屋を査察して (創元推理文庫)

 なんというか、1つ1つの話はとても短いのに、濃い感じがして読むのが大変でした。現在とも過去ともつかない時代、湿っぽいような、埃でざらざらしたような、とにかく少し気持ちが悪い感じ。どれをとっても独特としか言いようがない・・・。
ブンガクの言葉

ブンガクの言葉

 文豪の作品の中から、ある1つを取り上げて軽やかに解説したエッセイ。これ、私は好きな感じの本でした。何といっても、この木内昇さん(女性)の語りがとても軽い。中にはツッコミもあったりする。例えば、島崎藤村『破戒』についてのところ、主人公が身分制度で悩んでいるところを取り上げて、

なにしろ、悩みすぎているのだ、同じネタで。
〈いつまでもこうして生きたい。と願えば願うほど、余計に穢多としての切ない自覚が湧き上がるのである〉
〈同族の受けた様々の悲しい恥、世にある不道理な習慣、「番太」という乞食の階級よりも一層劣等な人種のように卑められた今日までの穢多の歴史を繰返した〉
 なにかにつけてこれである。「取り合えずそのことはもういいから」と胆力のない私などは思ってしまう。できることなら、森田健作山下真司と一緒に丑松のもとを訪れ、「青春ってさ、そんな辛気くさいもんじゃないはずだろう、な、イソップ」などと、見当違いなあだ名で呼びかけながら、熱く議論したかった(p,152)。

とか。全体的に、良く知られた作品を取り上げるというよりは、知ってる人は知ってる(これは当たり前か・・・)短編が多いので、新鮮な気持ちで読める気がします。