読了

うちのごきげん本 (ダ・ヴィンチブックス)

うちのごきげん本 (ダ・ヴィンチブックス)

パラレルな世紀への跳躍 (集英社文庫)

パラレルな世紀への跳躍 (集英社文庫)

 ばばかよさんの本は、最近集中して読んでる『人のおすすめ本を知る』シリーズの中の一冊。自分が選びそうな本が固まってしまっているので、人の薦める本を読みたい・・・。もう読んでるのも結構あったけど、あー他の人はここに注目するのか、とか新しい発見もあり、面白い。例えば武田百合子さんの『犬が星見た』についての部分では、「船上で映画会があったとき“交響楽団が演奏しているところを、そのままうつしている映画らしい。観ない。”ときっぱり書いているところが面白い」・・・って書いてある。確かに自分がしなかったことって、普通日記に書かないよねー。私は銭高老人にひたすら注目して読んだけど、それぞれの視点ってまさにその人だけにしかないもので、だから感想を聞いたりするのは楽しいなーと思う。
 太田光さんの本は、何となく頭の回転の速さが文章に現れてて好きです。“スローフード”や“スローライフ”について書かれたテーマ「嫌悪感」の中から引用すると

 都会の子供を田舎に連れて行き、自然の中で、便利な道具を使わずに生活させる。するとそこに、都会では見つけることの出来ない発見や感動があり、それらを体験した子供は逞しくなるといったような話も私は嫌いだ。その全てを否定しようとは思わない。もちをんそこから学べる事は大きいだろう。しかし、現代の生活の中でも多くの発見や感動はあり、それが、自然の中で見つけたものよりも見劣りするものだとは決して思わない。(中略)素朴な生活の素晴らしさを教える場合、必ず、そういった人間の知恵の素晴らしさ、文明の素晴らしさも同時に教えるべきだ。人間がつくってきた現代という社会は、決して否定されるべき世界ではないという事を、過去の生活の素晴らしさを語るのと同じ分語らなければ、現代を否定的にとらえる子供がたくさん育ってしまうのではないだろうか(pp,14-15)。

とある。このあとに「現代社会への批判」について触れてるんだけど、ああそうそう!分かる!って自分のもやもやしていたものがすっきりしたのを感じた。私も社会に対して皮肉ぽい意見(建設的じゃない意見・自分にまったく責任がないという前提に立った意見とか)を聞くとすごくいやーな気持ちになるし。

 現代の社会を否定的に話す人に私が嫌悪感を持つのは、その態度に自分が属している世界への無責任さを感じるからだろう。(中略)この社会をつくっているのは自分達であり、その社会が悪いと感じたならば、それは“自己嫌悪”になるべきで“批判”になるべきではない(pp,16-17)。