読了

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

爆笑問題の日本史原論 偉人編 (幻冬舎文庫)

爆笑問題の日本史原論 偉人編 (幻冬舎文庫)

 順番に。
 「あらゆる書物を所有してはならない」掟のある世界で、少年が検閲官・エノに出会い、謎を解決する話。少年が二人出てくる=私にとっては長野まゆみさんなんですが、最後の方はすごくさわやかで、これからまた物語が再開しそうな雰囲気。続編出ないかなぁ。

「私は完璧な検閲官だが―心は失われている」エノは軽く胸に手を当てた。「ここもすでに検閲済みというわけだ。それはすべてにおいて都合のいい、よりよい形であるはずなんだ。しかし、君の目を通して見た時、まだ私の心の何処かに失われていない何かが見つかるかもしれない。それを削除すべきかどうかを、その時にまた決めなければならない(p,213)」

 あと、書物つながりで会話のところどころにミステリが出てくるのが楽しかった。“探偵”以外でも密室とか鏡、山荘、小道具・・・。最後の種明かしは、「知らないとそう捉えるのか!」みたいな驚きがあったので爽快でした。

日本史原論(偉人編)は冒頭近くで語られているみたいに、「偉人その人」であるということだけじゃなく、「時代とその人の出会い」もかなり大きいんだなーということを感じた。時代が違ってたら、意外に平凡な人生だったかもしれないしね。あと、個人的なメモ。

古代神話の世界では、降伏する者が勝者を祝福し、自分の権威の象徴である宝物を捧げたり、娘と結婚させたりすることが行われたが、名前を捧げるということにも同様な意味があったと考えられる。
 名前は単なる記号ではなく、その人の霊的な本質にかかわるものだったからだ。
 古代には、男性が女性に名前をたずねることがプロポーズになり、女が応えて名乗れば承諾したことになったが、それも名前というものの霊的な力とかかわりがあるだろう(p,52)。

古代の名前についての考え方も興味あるー。