読了
- 作者: 絲山秋子
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2007/12/06
- メディア: 単行本
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あと、桜庭さんが直木賞っていうのは今日一番うれしいニュースでした(自分のことで一番がないのが虚しい)。一方で、確かに『私の男』は良い作品だと思うんだけど、いやいや桜庭さんはこれが限界じゃないぞ!って気もするのでうれしいながらも微妙な気持ちもあり。いや、うれしいけど・・・。
それからさっきちらっと講評を読んでいたんですが、「人間が描けていない、リアリティーがない」っていうのは個人的にちょっと同意しかねました。人間をきっちり描いたり*1、リアリティーを追求したからって、それが良い作品の基準にはならないだろう、たぶん。そして本のなかの世界にリアリティーもなにもないような気が・・・。人間も、リアリティーも越えたところで人を引き込む世界を持ってるかどうかじゃないかなぁ。
でも『こんな作品を世の中に出していいのかという論議もあったが、それも覚悟してあえて受賞作とした。選考委員のほとんどが桜庭作品に作家的な資質を感じてしまった。こういう世界も書ける作家的才能の豊かさというか、これまでの文学になかったもの、選考委員会が知らなかったものを持っている。次に何がでてくるか分からない作家の、とても不思議な作品だった。われわれは大きなばくちを打ったのかもしれないが。』(講評から引用)っていうところはすごくうれしかった!とにかく良かった。良かったよー。中学1年の夏休みに図書館から借りた、よしもとばななさんの『キッチン』をベッドの中で読んだときみたいな、「あー同じ時代に生きててよかった!まだまだこの人の新作が読めるんだ!」っていう喜びがまた感じられて幸せな気持ちになります。
*1:描く中身が具体的に思いつかないので言い回しも好きじゃない。