読んだ

バルタザールの遍歴 (文春文庫)

バルタザールの遍歴 (文春文庫)

 20世紀初頭、ウィーンの貴族の家にバルタザールとメルヒオールという、一つの体を二人で共有する双子の兄弟が生まれる。そして彼らはナチス台頭のウィーンを逃れ、享楽と頽廃の道へ・・・という話。著者の方はこの作品で、第3回日本ファンタジーノベル大賞を受賞されています(デビュー作)。でもお話自体がファンタジーっぽくないのは、解説にもあるように、ディテールにまできちんと時代背景が反映されているからなのでしょう。私はヨーロッパ史の知識がほとんどないのでさらっと流して読んでしまいましたが、分かる人が読んだらその細かな芸(というのか?)におぉーとなるのでは?と思います。でも個人的にはファンタジーも、登場人物が多くて全員カタカナっていうのも滅多に読まないので、その辺りでは物語の世界に入り込めなくて残念でした。